

差異と重複 / 柿内正午 (零貨店アカミミ)
初版発行:二〇二三年四月
柿内さんの文章は、彼の生活の速度と紐解くことができると思う。
話す速度、食べる速度、呼吸する速度——。
それらはそのまま、生活を歩む速度と同様となるのではないか。
“追想”が“随想”になりゆく様をリアルタイムで見るような感覚にいざなわれる。
“随想”は幾重にも重なり、そして少しずつずれてゆく。
年月を重ねて、それらは生活となるのである。
以下、発行元HPより抜粋。
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並走する二つの日記。
停滞と変容の諸相。
どうでもよくない、代わり映えしない毎日。
2021年と2022年の日記が並走する大きな日記の本。
図体ばかりデカくて内容の大したことなさはいつもどおり。
大したことない日々は、どうでもよくはないのです。
「自分の日記を読み返しているうちに、もっと書かなくちゃなという気持ちが湧いてくる。この頃の僕は書けない読めないとぼやきつつもなんだかんだ結構読んでいるし書いているのだ。今の僕の方がずっと読めていないし書けていない。この数週間も、後で読み返すときには結構読めてるし書けてるじゃん、と感じるのだろうか。今回ばかりは、そうでもない気がするんだよなあ。というこれもまた、毎回思っていることなのだけど。一日として同じ日はない、というあまりに当然のことすらなんだか忘れてしまうようで、日記を読み返すと、確かに全部ちがう日だなあということと、とはいえ同じような日ばかりだということがよくわかる。同じようなことの繰り返しでも全く同じということはなく、その微妙な差異が積もり積もっていつのまにか見知らぬところにまで辿り着いていたりもするのだ。」(本文より)
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発行元:零貨店アカミミ
発売年:2023年
判型:A5判
頁数:780p
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