

台湾原住民文学への扉 「サヨンの鐘」から原住民作家の誕生へ / 下村作次郎 (田畑書店)
2023年04月10日 第1刷印刷
2023年04月16日 第1刷発行
1980年代末に民主化運動の波のなかから生まれた台湾原住民文学。
「台湾原住民文学」と名指さざるを得なかった文学は、どのような悲哀を乗り越えなくてはならかったのか。
台湾原住民文学をより仔細に、より深く読むことを可能にする一冊。
以下、版元HPより。
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目次
台湾および台湾原住民族関係地図
凡例
はじめに
Ⅰ ふたつの物語──「サヨンの鐘」と「義人呉鳳」
第一章 「サヨンの鐘」物語の生成と流布過程
第二章 日本から逆輸入された『サヨンの鐘』の物語
──中央舞台の台湾上演と呉漫沙の『サヨンの鐘』
第三章 物語の終焉──映画と教科書の「サヨンの鐘」
第四章 各種『サヨンの鐘』の検討──劇本・小説二冊・シナリオ・教科書 各種『サヨンの鐘』対照表
第五章 連結する帝国の物語と「届かない」帝国の物語──呉鳳伝説・霧社事件・『サヨンの鐘』の検証
「サヨンの鐘」関係文献について
【参考資料一】「サヨンの鐘」関連地図
【参考資料二】「サヨンの鐘」関連記事 一九三八年―一九四三年
【参考資料三】「サヨンの鐘」関連年表 一九一三年―一九四五年
第六章 「義人呉鳳」の誕生地・諸羅県(嘉義)──呉鳳物語の生成
「呉鳳伝説」関係文献について
Ⅱ 台湾原住民文学の世界
第一章 台湾原住民文学序説
第二章 台湾原住民文学とはなにか
トパス・タナピマ小伝
第三章 日本における台湾原住民文学研究──翻訳・出版と書評を中心に
第四章 台湾原住民文学をめぐる原住民知識人の言説
第五章 「歴史」のなかに生きるための戦略的台湾原住民文学論──孫大川(パァラバン・ダナパン)著『台湾エスニックマイノリティの文学論 山と海の文学世界』 アタウ・バラフの風刺詩
第六章 台湾原住民文学に描かれた女性像──原住民女性は「可視化」されてきたか
第七章 日本における台湾原住民文学の受容
Ⅲ 台湾原住民文学点描
第一章 霧社からのまなざし
一、霧社事件七〇周年と台湾九二一大地震/二、埔里からのまなざし/三、誇り高きセイダッカとタナトゥ/四、台湾からの手紙/
五、『風中緋桜』のテレビドラマ化に期待する/六、「ガヤ」回復への歩み/七、山部歌津子『蕃人ライサ』に描かれた「ミカの悪夢」/八、佐藤春夫と台湾原住民族
第二章 山海の世界
一、簇出する海と山の文学/二、翻訳で読む台湾原住民文学/三、「孫大川の台湾原住民文学論」研究
第三章 山地の文学
一、〝台湾原住民文学〟最前線/二、アワ文化と狩猟生活/三、原住民族の近現代史を、「原住民の視点」から明らかに
第四章 海洋の文学
一、大きく姿をあらわすシャマン・ラポガンの海洋文学/二、浮かびあがるシャマン・ラポガンの海の文学
第五章 女性たちのまなざし
一、台湾のアイデンティティを問い直す台湾原住民女性文学/二、リムイ・アキの『懐郷』を読む
第六章 事件・戦争
一、原住民作家のパタイが描いた琉球人遭難事件/二、王幼華著・石其琳訳『土地と霊魂』/三、『フォルモサに咲く花』の世界
【参考資料四】台湾原住民族関連憲法
【参考資料五】台湾原住民族一六族人口統計表(二〇二二年)
台湾原住民文学年表 一九四五―二〇二二
初出一覧
あとがき
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版元:田畑書店
発売日:2023/04/16
判型:A5判 上製
頁数:592p
ISBN:978-4-8038-0407-2
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